サービス内容と仕組み
立ち寄りサービスは、ひとりのライダーが一度の走行で複数の配送先を巡回しながら荷物を届けるしくみです。チャーター便のように車両を丸ごと押さえるわけではないので、緊急性の高い小口荷物をまとめて運びたいときに費用対効果が高まります。
依頼時にはまず集荷元を一か所に集約し、届け先の住所と希望順序、希望時間帯を伝えます。配車システムはこれらの情報をもとに最短経路を計算し、ライダーのスマートフォンへ立ち寄り順を自動送信します。走行中はGPSで位置情報が1秒ごとに更新され、荷物を降ろすたびに到着予定時刻が再計算されるため、依頼主は次の訪問先への到着予想をリアルタイムで確認できます。冷蔵ボックスや防水バッグと組み合わせることで医療検体や精密部品のような温度管理が必要な荷物にも対応でき、温度ログと配送ステータスを同じ管理画面で確認できるのも大きな利点です。最近はECサイトの注文データとAPI連携し、受注確定と同時に立ち寄りルートへ組み込む事例も増えています。
料金相場と計算例
料金は「基礎距離料金+立ち寄り加算」で構成されるのが一般的です。東京23区内の場合、基礎距離5kmまでが2,000円程度、超過1kmごとに200円が目安とされています。立ち寄り加算は1か所あたり400〜600円で、配送先が3件なら追加1,200円前後となります。同じ総距離15kmをチャーター便で頼むと車両拘束料込みで6,000円程度かかりますが、立ち寄りサービスなら2,000円+(10km×200円)+(2件×500円)=5,000円で済みます。
高速道路や深夜帯を利用する場合は距離単価の25%前後が割り増しになるため、経路を指定する際は一般道で十分かどうかを検討すると良いでしょう。集荷後に急きょ配送順を入れ替える場合は「経路再計算料」として1,000円程度が加算されます。あらかじめ配送リストを確定させておくほどコストを抑えられますが、もし変更が避けられないときはライダーが最初の配送を完了する前に指示を出すと上乗せ額を最小化できます。
活用事例と導入ポイント
広告代理店A社は、都内10か所のクライアントへ色校正を届ける業務で立ち寄りサービスを導入しました。従来はバイク便を3本同時手配していましたが、立ち寄り型に切り替えたところ月間輸送費を約18%削減できました。ポイントは「資料を同一温湿度条件で運べること」と「クライアントの営業時間に合わせて降ろす順序を設定したこと」です。
医療機器メーカーB社は修理用パーツを都心、郊外、湾岸エリアへ巡回配送するルートを構築し、ライダーの拘束時間を短縮して緊急受付枠を拡大しました。導入時に注意したいのは、荷物の大きさや重さが極端に異なると最後の積載バランスが崩れる恐れがある点です。依頼時には三辺合計と重量を正確に伝え、最も大きい荷物を早めに降ろす順序を組んで安全性を高めましょう。また、立ち寄り先での待機時間が長引くと後続の配送に影響が出るため、到着10分前の自動通知を受け取ったら受取担当がすぐ動ける体制を整えておくことが欠かせません。立ち寄りサービスは走行距離と車両稼働を最適化し、配送リードタイムとコストを同時に削減できる選択肢です。荷物の特性と社内フローを照らし合わせ、最も効率的なルート設計に挑戦してみてください。