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スペインで宅配サービスの配達員の雇用義務化

スペイン政府による大きな動きがあった

2021年は2020年に引き続き新型コロナウイルスが世界レベルで猛威を振るっており、その対策にはそれぞれの国が独自に動いています。
スペインでは2021年現地時間3月11日にデリバリープラットフォームの配達員を従業員とする労働改革における業界と労働組合との合意があり、スペインデリバリー業界が大きく動くことになったのです。
スペインには「Deliveroo」「Glovo」「UberEats」などの配達サービスが存在していますが、今回の合意により彼らの立ち位置がかなり大きく変わることになりました。

なぜ労働改革が発生していたのか

この労働改革の中身を簡単に解説すると「デリバリープラットフォームの配達員を従業員と区分する労働改革」になります。
今回の合意はこの労働改革に賛成するという旨の合意なのです。

労働改革が発生していた背景には色んな理由が存在していますが、その中でも大きな問題となっていたのが配達員の分類をめぐってスペイン内部で大量の訴訟が発生してたことにあります。
基本的にこういった配達員達は「ギグワーカー」と呼ばれる単発の仕事を請け負う労働者であり、日本では企業に雇用されながら副業として勤しむ人やバイト感覚で配達を行う人が多いでしょう。

しかし、そもそもの正規雇用が圧倒的に少ないスペインにおいてはこのギグワークに分類されていた配達サービスが副業ではなく本業となっている人がかなりたくさんいたため、社員として登録されている人達の福祉的なサービス全般を受けられない状態にありました。
こういった社員ならではのサービスを受けられるようになるための改革として非常に大きな一歩となっています。

十分な権利や社会保障を受けられる労働者になってほしい

ギグワーカーの人達ははっきり言って正社員の人達よりも立場的に圧倒的に弱く十分な権利や社会保障を持っていません。
新型コロナウイルスによる弊害によって正社員のカテゴリーにある人達でも苦しい状況にある中、そういった立場にある人達はさらに追い詰められる可能性があります。
スペインでも経済界のトップに位置する方々からこのギグプラットフォームビジネスモデルは危険であると声を上げていた人が多数いたため、今回の改革に至ったのでしょう。

反対意見ももちろんある

配達サービスを利用して様々な所に配達していた人達が従業員扱いになってしまうことに対する反対の声も多数あります。
特に反対していたのが「Deliveroo」「Glovo」「UberEats」などの配達サービスに所属していた人達です。
ギグワーカーというのは正社員ではないために社員ならではのアドバンテージが存在しないのは事実ですが、ギグワーカーという立ち位置ならではの強みを持っているのも事実です。

最もわかりやすいのが、所属していないのにきっちりとお金を稼げるという独立性と、働けば働くだけ成果を得られるという成果主義のシステムであり、これが従業員としての扱いになってしまった場合は独立性も成果主義も無くなり恐れがあるのです。