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厚着してバイクに乗る

深夜配送を快適にする電熱インナージャケット

電熱インナージャケットの仕組み

電熱インナージャケットは、極細のカーボンファイバーワイヤーを生地内部へ編み込み、5Vまたは7.4Vのモバイルバッテリーから電力を供給して発熱させるウェアです。
発熱ユニットは胸部・背中・襟元に配置されることが多く、体幹を温めることで深夜走行時に最も感じやすい冷えを効率よく軽減します。繊維自体が発熱するため柔軟性を保ったまま発熱し、従来の電熱ベストに比べてゴワつきが少ないため、プロテクターやウインタージャケットの下にも違和感なく重ね着できます。温度は三段階の電子制御で、おおむね低(約35℃)・中(約45℃)・高(約55℃)に設定されており、LEDスイッチの色で現在のモードがひと目で確認できます。

発熱効率を高めるために、表地には防風フィルム、中綿には遠赤外線反射素材が採用されるモデルが増えており、熱を逃がさない構造がライダーの消費電力を節約します。長距離のナイトランでは身体の深部温度が下がると判断力も鈍りやすくなりますが、体幹を温め続けることで集中力を維持し、危険予知の精度を落とさずに業務を続けることが期待できます。

電源の選び方と運用コツ

電熱インナーに用いるモバイルバッテリーは、容量10,000mAh以上で2.4A出力に対応したUSB-AまたはUSB-Cモデルが実用的とされています。低モードではおよそ8〜10時間の連続使用が可能ですが、高モードにすると稼働時間は4時間前後まで短くなるため、深夜と早朝の両方で使うライダーは予備バッテリーを携帯すると安心です。

車体から給電する場合は、シート下のアクセサリー電源をUSB変換して5Vを取り出す方法が一般的ですが、エンジン停止中に消費するとバッテリー上がりのリスクがあるため、停車中はモバイル電源へ切り替える二電源運用が推奨されます。近年はバッテリーを薄型化した「シームレス発熱」モデルが登場しており、リアボックスに大容量電源を置き、ウェア側へマグネット式ケーブルで接続するタイプも選択肢に加わっています。充電サイクルを延ばすコツは、使用後に高モードで3分ほど通電し内部の湿気を飛ばしてからバッテリーを外すことです。このひと手間で端子の腐食を防ぎ、発熱効率の低下も抑えられます。

なお、モバイルバッテリーをポケットに入れる際は衝撃吸収シリコンケースを装着し、転倒時の破損や発煙事故を防ぎましょう。

導入時の注意点とメンテナンス

電熱インナージャケットは便利な一方で、取り扱いを誤ると火傷や配線断線などのトラブルにつながります。
まず、肌着との間に最低1枚の吸汗速乾インナーを挟むことが必須です。直接肌に触れると発熱部が一点に集中した際に低温火傷を起こす恐れがあります。また、サイズ選びは「胸囲+2cm」を目安にして密着しすぎを避けると、発熱体が均一に広がり快適性が向上します。洗濯は必ずバッテリーポケットの防水キャップを閉じ、ネットに入れて弱流水で行います。脱水時は遠心力で配線が伸びやすいため、30秒程度で切り上げ、陰干しで自然乾燥させると断線リスクを抑えられます。シーズン終了後は完全乾燥を確認してから不織布カバーに包み、高温多湿を避けて保管してください。

業務用として導入する場合は、社内の安全装備リストに「電熱ウェアのバッテリー残量確認」を追加し、毎日の点検フローに組み込むとトラブルを未然に防げます。快適性と安全性を両立させるために、正しい運用とこまめなメンテナンスを心掛けましょう。