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ヘルメットを抱える人

万が一に備える運送保険の仕組み

保険の基本と主な種類

バイク便で荷物を預かる瞬間から、ライダーと事業者は貨物の安全に対して法的責任を負います。事故や紛失が起きた際の金銭的リスクをカバーするのが運送保険です。
代表的なのは〈貨物保険〉と〈受託貨物賠償責任保険〉の二系統で、前者は「荷物そのもの」を守る第一当事者型、後者は「荷主への賠償責任」を補償する第三者型という位置づけになります。

個人ライダーが加入しやすいのは受託貨物賠償責任保険で、年間保険料は業務用125ccクラスでおよそ1万2千円から2万円が相場です。高額機器やブランド品を扱う企業は、1回の請負上限を1000万円に設定するオールリスク型貨物保険を別途付帯し、案件単位で掛け捨てするケースが増えています。最近ではEVスクーター専用の保険パッケージも登場し、車両火災やバッテリー漏電による貨物損害をカバーする特約が注目されています。

補償範囲と適用条件

運送保険が実際に支払われるかどうかは〈偶然性〉があるか否かが分水嶺です。転倒事故や第三者からの衝突、急ブレーキで荷崩れが起きた場合は「偶然かつ突発」と見なされ、保険金の対象になります。

一方、荷姿不良による破損や温度管理義務違反など、ライダーや荷主が防止できたと判断される事象は免責となります。遅延損害は基本補償外ですが、医療検体やイベント販促物など期限価値が高い貨物は〈遅延費用特約〉を付ければ最大で運賃の2〜3倍まで補填される設計もあります。保険金額は「申告価格」か「時価」のいずれか低い方が上限です。
中古品や修理パーツは想定より評価額が低くなりがちなので、見積書や購入時レシートをあらかじめ電子化し、保険会社の査定に備えておくと減額リスクを抑えられます。請求時は事故発生日翌日から30日以内に損害状況を写真・動画で提出し、運送約款に沿った事故報告書を添えるのが一般的な流れです。

加入前に確認したい注意点

まずチェックしたいのは〈免責金額〉と呼ばれる自己負担部分です。
たとえば免責1万円条項が付いていると、修理費が9千円では保険金が支払われません。小口配送が多いバイク便では免責ゼロ円を選ぶと安心ですが、保険料は1.3倍ほど上がる傾向にあります。

次に重要なのが〈保険期間の穴〉です。多くの補償は「集荷から納品後サイン取得まで」を対象にしており、車庫待機中やライダーがコンビニに立ち寄っている間の盗難は対象外になる可能性があります。倉庫留めや一時保管を伴う業務では、倉庫賠償責任保険を重ね掛けすることで空白期間をなくせます。最後に、商品の性質による料率差にも注意しましょう。精密機器や生鮮食品は標準料率の1.5〜2倍になることがあり、取扱い頻度が高い場合は年間包括契約で一括割引を交渉するとコストを抑制できます。運送保険は「万が一」の損害をカバーするだけでなく、荷主との信頼を数値で示す営業ツールにもなります。補償内容と費用のバランスを見極め、業務実態に最適なプランを選びましょう。